今日も仕事です。
今回は『動物農場』という小説の感想について書いていきたいと思います。
※以降、ネタバレを含みますのでご注意ください。
「動物農場」は、人間に反旗を翻した動物たちのおとぎ話です。些細なことから人間たちへの反乱が成功してしまい、動物だけの農場運営を行っていくというところから、お話は始まります。
残酷な人間たちの支配から逃れた動物たちは、以下の戒律を決めて平等な明るい世界を目指します。
1. 二本足で立つ者はすべて敵。
2. 四本足で立つか、翼がある者は友。
3. すべての動物は服を着てはいけない。
4. すべての動物はベッドで寝てはいけない。
5. すべての動物は酒を飲んではいけない。
6. すべての動物は他のどんな動物も殺してはいけない。
7. すべての動物は平等である。
動物の中で頭が良いブタたちが他の動物たちへの作業分担や今後の農場運営の計画を行う知的労働を担います。そしてその他の動物たちはブタから割り振られた肉体労働に従事してより良い世界を夢見て働き出します。
最初のうち、動物たちは「人間の支配から解放された喜び」に満ちて、希望を持って労働に従事します。
しかしブタたちは自身に割り振られた特権(今後を決めていくことが出来る、他の動物を働かせることが出来る)を、徐々に自分達の欲求を満たすために利用していきます。
ブタたちに有利な政策が発表される度に、他の動物たちはおかしいな? と思いつつも、うまく言葉にすることができません。そしてその度に戒律を見直すのですが、ブタたちは戒律も書き直しているので、他の動物たちも戒律通りだと認めざるを得ません。(他の動物たちは戒律が正確にどのように書かれていたのかもうまく思い出せないのです)
最終的にブタたちは人間と同じような振る舞いを始めます。服を着て酒を飲み、あまつさえ二本足で歩き始め、他の動物たちをこき使うようになります。
これはおかしい、動物たちは平等ではなかったのかと戒律を確認すると以下の戒律がひとつだけ書かれています。
すべての動物は平等である。
だが一部の動物は他よりもっと平等である。
「動物牧場」はこのようなお話です。上記の流れを追うと「ブタが悪い!」と思ってしまいがちですが、本作の焦点はそこだけではありません。
ブタももちろん批判的に書かれておりますが、そんなブタたちに愚かに従ってしまう動物たちにも批判の焦点は向いていると思います。
本作のあとがきや付録には、本作は当時のソ連体制に対する批判として書かれたという事実が記載されています。
しかしこの作品は、発表当時の現代性だけではなく、人が人を支配する構造という、より普遍的内容への寓意が込められているように感じます。
付録に著者のジョージ・オーウェルさんの以下にような言葉が載せられています。
自由というのは何を置いても、みんなの聞きたくないことを語る権利ということなのだ。
私たちの身近なところでも、この言葉を考えなくてはいけない状況は多いのではないでしょうか。
個人的に新社会人にお薦めする一作に挙げたい、そう思うほどに、とても面白い作品でした。
今回はここまで。
それではまた次回。